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太陽と月


男は恋をした。

女は会社の受付嬢で

笑顔がとても素敵だった。

まるで女優のように輝いていた。

男は女を恋人にしたいと思い

勇気を振り絞ってデートに誘ったら

OKの返事が来た。

有頂天の男は

高級レンストランを予約したり

夜景の綺麗なお洒落なBARを予約する。

デート当日

男は女を車で迎えに行った。

女にとってそれはまるで

かぼちゃの馬車のようだった。

男は女に

一日中お姫様のように接した。

レストランでもBARでも

女はずっとずっとキラキラしていた。

そして女も恋に堕ちた。

やがて男は結婚を決意し

レストランで100本のバラと婚約指輪をプレゼントした。

女の笑顔は

オードリーヘップバーンの「ローマの休日」

に負けないくらい輝いていた。

結婚式当日

ウエディングドレスを身にまとった女は

まるでどこかの女王さまのようだった。

男は女を一生幸せにすると誓った。

専業主婦となった女は

彼のために掃除をし、洗濯をし、食事を作り

彼の帰りを待った。

外出することが減ってはいったが

息抜きに見るネットの韓国ドラマは楽しかった。

「妻」という母親のような存在を得た男も幸せだった。

やがて子供を授かる。

男は父になり

女は母になった。

子育ては想像以上に大変だった。

男は次第に「妻から母」という視点で女と接するようになった。

子供が成長するとともに

男はいつしか女を「名前」から「お母さん」と呼ぶようになった。

食事をする時の会話も、ほとんどが子供の話題だった。

女は次第に楽な格好で過ごすことが増え

化粧をすることも徐々に減り

次第に女としての輝きを失っていった。

男は女を抱かなくなった。

男は恋をした。

会社の受付嬢で

笑顔がとても素敵だった。

自分の妻にはない

キラキラがあった。

まるでテレビの女優のように輝いていた。

男は女に「妻とは上手くいってない」と言い

レストランで100本のバラをプレゼントした。

やがて2人の関係は不倫へ進展する。

彼女や奥さんに

輝いていて欲しいのなら

昔のように

お姫さまとして接してあげることだ。

人間は環境に順応するのだから。


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