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存在

1989年


昭和64年と平成1年が同居したこの年

E NIGHTというバンドでYAMAHAの音楽コンテストに参加。

日本武道館で開催された世界大会まで駒を進め

僕の人生は大きく変わった。


この年の初めに、あることがきっかけで

音楽への考え方が大きく変わり

歌い方や創る作品の傾向も一変した。


それまではPOPでおちゃらけた可愛い系の作品が多かったのに

正反対とも言える文学系や哲学系、アート系の作品を書き始めた。


おい、どーしたどーした

なんか変なもん食ったのか??

って突っ込まれそうなくらいの振り幅だ。


アンディーウォーホールのヒロイン

イーディーセジウィックをイメージして書いた

「80年代のイーディーセジウィック」は

武道館に立つ大きな要因となった。

サビの最後に ♪狂気の口づけを と歌っている。

おい、坊主、それってどんな口づけだ、

と、この当時28歳の俺に聞いてみたい。


♪昨日までの後悔に形成された今日の僕

という歌詞で始まる「僕を愛せない」は

ネクラじゃないと絶対に書けない自己完全否定な作品。

アウトロに ♪君の白いリボンが揺れている

って唐突に歌い出すんだけど

この不気味さがとても好きだった。

今も好き。


どちらも1989年に書き下ろした作品。

そして「へやうた」で30年ぶりに歌った「存在」もこの年に書いた。

当時のノートに「平成1年10月19日」と記載してある。

メジャーにてレコーディングしたんだけど発売までは至らなかった。

サウンドプロデューサーはオフコースのギタリスト「松尾一彦」さん。

今でもおつきあいさせていただいてる愛すべき師匠だ。


当時、レコーディングにて

「存在の歌詞はすごく良い。特に最初のくだりが」

と松尾さんから言っていただき、それはとっても、とっても、嬉しかった。

とっても2つじゃ言い表せないほど嬉しかった。


デビューする前にムーンライダースのギタリスト

白井良明さんとレコーディングしたことがあってバンドについて質問した。


一平 このバンドで一番良いな、って思う要素はなんですか?

白井 歌詞

一平 じゃぁこのバンドで一番修正しなきゃいけない要素はなんですか?

白井 歌詞


君の歌詞はすごく面白い。

ただ一般の人には理解されにくい。

だから売れるために一番問題なのが歌詞。


喜ぶべきか悲しむべきか

よくわからない複雑な感情になったけど

松尾さんの言葉も

良明さんの言葉も

長い時間を経て僕の心に残っているのは

当時の僕にとって もすご〜く重要な言葉だったのだと思う。


「存在」を改めて歌ってみて感じたことがある。

この作品を引き出しの奥にしまったことによって

その歌詞が、後に作った僕の作品に、少し形を変えて登場している。

きっと「恋」の捉え方の原型が「存在」の歌詞に込められていたのだ、と思う。



1989年



昭和64年と平成1年が同居したこの年

どこにも目を向けず、ひたすら自己中心的に

ただ自分の気持ちだけを見つめ弄り続けていた。

不恰好に翼を広げ、がむしゃらに羽ばたこうと必死だった僕のとんでもない変化に

文句1つ言わず、一緒に羽ばたこうとしてくれた

E NIGHT2 BAR(イーナイトナイトバー)のメンバーに

時を経た今も、深く感謝していることを伝えたい。



とっても2つじゃ言い表せないけど

とっても、とっても、ありがとう。




執筆 尾上一平


閲覧数:232回

3 Comments


飯島 久美子
飯島 久美子
Oct 25, 2021

一平さんのつくる作品は陰陽の世界観が凄く在ります

底深く何処までも落ちて行くような深い心情を描き

キラキラとした綺麗な美しい想いを言葉で表現しています。

この振り幅が凄く面白いのだと思う。

一平さんの 紆余曲折な人生を送ってきた その日々の感情さえも押し殺して生きて来たこともあると…

あらゆる感情が心にひしめき

色んな想いを歌にする。

E NAIGHT時代はその溢れ出す感情が一番尖っている時

その頃の作品は言葉のチョイスも凄く前衛的な斬新な攻めた表現が多いのかも。

歳月を積み重ねた今、こうしてもう一度あの頃の自分の書いた作品に向き合うと、あの頃の自分と今の自分で対話して 更にどんな感情が生まれてくるのか

それ自体がとても面白いですね

まさにタイムカプセルを開けるわくわく感。忘れていた記憶や感情。

それに触れてみて どんな自分に出会えるのか

どんな自分に変われるのか

ゆっくり楽しんで下さい。

眠っていた数々の作品

とても楽しみにしています。


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Ikuyo ito
Ikuyo ito
Oct 25, 2021

情熱的な心の歌詞と、深い悲しみ的なコード進行とのバランスがとても魅力的な曲ですね〜

きっとこの頃にしか書けない

強く儚い魅力が詰まっていて

好きです

わぁーい

聴けてよかったです


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Musima  Oki
Musima Oki
Oct 25, 2021

今の一平さんは ENIGHT時代からずっと繋がってて今の一平さんなんですね〜😊

そして波乱万丈な人生を送ってる一平さんの周りには常に素敵な人の存在があるんですね😊そしてその事に気づいて大切にしてる一平さん素敵です😊💖

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